空前のサウナブームもひと段落。私たちが次に求める「ととのい」とはなんだろうか?
寺活にその答えを探求するメディア「寺イク?」編集部が、とんでもない人物と遭遇しました。
その名も、寺活マスター・MASAKIさん。
四国の八十八ヶ所霊場巡り、いわゆるお遍路をなんと「4周」以上も完遂し、お寺界隈のガチ勢しか持っていない「公認先達(せんだつ)」という資格を持つ、正真正銘の寺活マスターです。

今回は、そんなマスターに緊急インタビューを敢行! 元々、サウナ好きだった編集長が提唱する寺活で得られるディープリラックス感覚「やすらギまる」ための3ステップの仮説もぶつけ、初心者が明日からできる寺活のコツまで、根掘り葉掘り聞いてきました。
(聞き手:「寺イク?」編集部)
■総移動距離7000km超!? マスターの変態的(褒め言葉)な実績
── 早速なんですが、マスターがお持ちの「公認先達(せんだつ)」という資格、お寺界隈では相当すごい資格なんですよね? 取得するのはどれくらい大変なものなんですか?
MASAKIマスター(以下、MASAKI): まあ、あの、四国八十八ヶ所という巡礼路がありまして。それを統括している団体があるんですが、そこの基準で「お遍路を4回巡礼した人」、かつ「お寺の住職の推薦があった人」に対して与えられる資格ですね。
── え、ちょっと待ってください。今さらっと「4回」っておっしゃいました? ヤバくないですか?
MASAKI: まあ、全部歩きじゃなくても、車を使ったりしてもいいんですけどね(笑)。
── いやいや、謙遜の仕方がすごいですって! 四国1周って最短でも1200kmくらいありますよね?
MASAKI: そうですね。まあルートによりますけど、1200kmから1600kmくらいですね。
── それを4周ってことは、単純計算で5000km〜6000km!? 地球の半径(約6400km)くらい移動してるじゃないですか…。しかも、住職の推薦まで必要なんですね。
MASAKI: そうですね。今はちゃんと住民票とかを提出して身元を明らかにしないといけないので、昔よりは厳格ですね。「一周回ってきました」みたいな参加賞とは全然わけが違います。
── そもそも、住職の方とどうやって知り合うんですか? スカウトとか?
MASAKI: スカウトされる方もいるらしいですね。私の場合は、公認先達になりたいなと思っていた時に、たまたま飲み屋で知り合った方がご住職を知っていて。「紹介してくれませんか?」って頼み込んだ感じです(笑)。
── まさかの飲み屋経由(笑)! そこまでしてなりたいと思ったきっかけは?
MASAKI: うーん、何なんですかね。最初は1周したらやめようと思ってたんですけど、やっぱり面白くて。「せっかくなら資格まで取っちゃおう」みたいな、コレクター心もありましたね。

先達になるまでの流れ
■きっかけはライトな「ご朱印集め」。ガチ勢への道
── マスターは元々、信仰心が厚かったとか?
MASAKI: いや、全然です。地元が神奈川の相模原で、山の方なので昔からお寺が多かったんですよ。33年に1回、観音様をご開帳するようなイベントがあって、それが好きで歴史に興味を持ったのが入り口ですね。
── なるほど、歴史好きが高じて。
MASAKI: ええ。で、田舎のお寺だと人も少ないので、ご住職といろいろ話ができたりして面白かったんです。あと、真言宗系のお寺って大体お遍路もやってるので、納経帳(のうきょうちょう/ご朱印帳のようなもの)を見て、「あ、この辺が面白いですよ」なんて教えてもらって。「じゃあ、ちょっとやってみようかな」と。
── 意外とライトな始まりだったんですね! 最近はスポーツ感覚でお遍路をする人も増えているみたいですし。
MASAKI: そうですね。昔は高齢の方が多かったですけど、今は若い方や自転車で回る方もいて、いい傾向だと思います。まあ、お寺で納経された方のリストを見ると、ガチで願掛けされている方もいらっしゃるので、そういう神聖な場所なんだなと再認識させられつつ、中途半端で申し訳ないなと思う反面、やっぱり面白いところもありますね。

マスターご自慢の高野山奥之院の御朱印
── マスターはもう13年くらい寺活をされていますが、普段はどんな風にお寺と付き合っているんですか?
MASAKI: もう、生活のルーティンですね。仕事でクライアント先に行く時も、近くのお寺、例えば浅草なら浅草寺にお参りしたり、会社の近くのパワースポット的な神社に寄ったり。最近は路地裏の小さなお地蔵さんに手を合わせたりもします。
── すごい。もはや挨拶レベルですね。
MASAKI: そう、挨拶です。「おはようございます」「こんにちは」みたいな。それしないと、なんか体が気持ち悪くなっちゃう(笑)。
── 歯磨きしないと気持ち悪い、みたいな感覚ですね(笑)。
MASAKI: まさに! 歯磨きって飽きないじゃないですか。それと同じで、お寺に行くとスッキリするんです。
── ここで聞きたいのが「サウナとの違い」です。マスターもサウナに行かれるそうですが、どう違いますか?
MASAKI: サウナも「熱い空間」という下界から離れた場所に行く良さはありますけど、外に出たらそれで終わり、みたいなところがありますよね。
── わかります。「はい、ととのった! 次いこ!」みたいな。
MASAKI: そう、余韻が残らない。でも、お寺の場合は違います。大きな木があったり、歴史的な建物があったり、きれいに掃除されている庭があったり。そこには、見えないけれど、何百年もそれを守ってきた人たちの思いや、寄付した人たちの存在がある。
── なるほど…。
MASAKI: 参拝を終えて「ありがとうございました」って門を出た後も、「ああ、よかったな」って、そういう歴史や人の想いに触れた「余韻」に浸れるのが、お寺のよさですね。
■編集部提唱の「やすらギまる」3ステップ、マスターの認定なるか!?

「寺イク?」流 やすらギまるための3STEP
── 実は我々「寺イク?」では、お寺で最高にリフレッシュする状態を「やすらギまる」と呼んでいて、そこに至る3ステップを提唱しているんです。
STEP 2:DIVE(没頭する) … 非日常の行為に集中する(読経・座禅など)
STEP 3:AWE(ゆだねる) … 大きな存在を感じて、今ここにあることを感謝し、ゆだねる気持ちを持つ
── この仮説、マスター的に合ってますでしょうか…?(ドキドキ)
MASAKI:あ、合ってます。そういうことです。
── やったーーー!! マスターのお墨付きだ!!
MASAKI: まさにその通りですね。お寺の山門をくぐると、俗世間と切り離されて「OFF」になる感覚は確実にあります。
── STEP 2の「DIVE(没頭)」についてはどうですか?
MASAKI: 私は読経(どきょう/お経を声に出して読むこと)が好きなんですが、お経って「振動」なんですよね。意味はわからなくても、並んでいる文字を無心で音に出して振動させていると、目に見えない仏様と繋がっているような感覚になります。
── 振動! なるほど。
MASAKI: 仕事中はそんな風に声を発することってないじゃないですか。だから、声を出すことで普段とは違う神経が動くというか、すごく元気になりますよ。これぞ「没頭」ですね。
── では、最後の「AWE(ゆだねる)」の感覚は? 今までで一番究極に「やすらギまった」瞬間ってありますか?
MASAKI: そうですね…あれは熊野古道を歩いていた時です。高野山から熊野へ抜ける険しい山道で、ゴールデンウィークなのにめちゃくちゃ暑くて、もう歩けないってくらい追い込まれてたんです。
── うわぁ、過酷…。
MASAKI: 日も暮れてきて、たどり着いた山の中の神社ももう閉まってるかなと思ったら、まだ開いてて。そこで、「かけまくもかしこき〜」みたいなちょっとした祝詞(のりと)を唱えてお参りした時に、ものすごく肩の荷が降りて、楽になった感覚がありました。
── それです! それがまさに「AWE体験(畏敬の念)」です! 自分のちっぽけな自我を超えた大きな存在に触れて、ゆだねることで楽になる感覚。
MASAKI: なるほど、そういうことだったんですね。究極のやすらギまる感覚は、きつい経験の先に得られたものですが、普段のお寺でもそのステップを踏めば、もう少しライトに体験できると思いますよ。
■初心者は「公園に散歩に行く感覚」でOK

マスター推し寺の金剛福寺(高知県)
── マスターの話を聞いて、俄然やってみたくなりました。明日からお寺に行く初心者が、やすらギまるために一番意識すべきことは何ですか?
MASAKI: うーん、シンプルに「公園に散歩に行く程度」の感覚でお寺に行くといいと思いますよ。
── え、そんなに軽くていいんですか?
MASAKI: いいんです。で、本堂とか手を合わせる場所があれば、そこで自分が今悩んでいることや願い事をちょっと頭に思い浮かべてみる。あとは、古いお寺ならその由緒書きを読んでみたり、歴史を感じたりするだけで十分です。
── 最初はどんなお寺がおすすめですか?
MASAKI: やっぱり、鎌倉や京都にあるようなメジャーで大きなお寺がいいですね。そういうところは開かれているし、座禅や写経体験なんかもやりやすいので、「DIVE(没頭)」しやすいと思います。
── 宗派とかは気にしなくていいんでしょうか?
MASAKI: 全然気にしなくていいです。私も基本はお遍路に行くと真言宗系(空海)のお寺が多いですが、神社にも行きますし。特定の信仰がなくても、フラットに「感謝する」というスタンスでいいと思います。変に「信仰しなきゃ」って構えると、それが足かせになっちゃいますから。
── ありがとうございます! ライトに試していいんだってわかって安心しました。
■まさかの展開! 寺活マスター、「寺イク?」監修者に就任決定!
── いやー、マスターのお話、深すぎました。僕らが提唱していた3ステップも、実体験に基づいた裏付けをいただけて自信になりました。
MASAKI: いえいえ、少しでもお役に立てれば。
── そこで、お願いがあるんですが…。やっぱりこのメディア、僕みたいな寺活初心者が運営しているので、本物のマスターの視点が不可欠なんです。
MASAKI: はい。
── マスター、ぜひ「寺イク?」の監修者になっていただけませんか!?
MASAKI:あ、いいですよ。
── いいんですか!? ありがとうございます!! これで「寺イク?」は最強の布陣になりました!
MASAKI: ははは(笑)。お遍路の魅力を伝えるのが先達の役割でもありますんで。気軽に行けるお寺の紹介とか、そういう企画もぜひやりましょう。
── はい、ぜひお願いします! 読者の皆さんも、今後の展開に期待してください! マスター、今日は本当にありがとうございました!
文・KENLOCK(寺イク?)
編集・KENLOCK(寺イク?)